歯周病は年配の人や高齢の人だけに発症する病気ですか?
歯周病は進行すると歯を失う怖い病気です。
ただ、「歯を失う」の症状から歯周病は年配の人や高齢の人だけがかかる病気のイメージが強く、
そのため若い人は歯周病に対してそれほど高い予防意識を持っていません。
実際、子供の虫歯を警戒する親はいても歯周病に警戒する親は少なく、
本当に歯周病は若い人にとって無関係の病気なのでしょうか。
それは間違いで、歯周病に年齢制限はなく子供ですら発症することがあるのです。
歯肉炎と歯周炎と歯槽膿漏
歯肉炎、歯周炎、歯槽膿漏、これらの病名を聞いたことがある人は多いでしょう。
ドラッグストアでは歯槽膿漏対策の歯磨き粉が販売されていますし、
小学校の歯科検診で歯肉炎と診断される子供も少なくないですからね。
では、歯肉炎や歯周炎や歯槽膿漏はどんな病気なのでしょうか?…実は歯周病とイコールです。
歯周病は進行する病気ですが、その進行度は初期段階・中期段階・重度段階の3段階に分けられており、
歯肉炎は初期段階の歯周病、歯周炎は中期段階の歯周病、歯槽膿漏は重度段階の歯周病とイコールです。
そもそも以前は歯周病という病名は使わず、症状に応じて歯肉炎、歯周炎、歯槽膿漏と使い分けていました。
ところが近年、これら全てをひっくるめて歯周病と呼ぶようになったのです。
つまり、歯肉炎と診断された小学生は初期の歯周病にかかっていることになります。
若い人が歯周病で歯を失う可能性
結論から言って、若い人が歯周病で歯を失う可能性はほぼゼロでしょう。
歯周病で歯を失うのは、その歯周病が重度段階まで進行して歯を支える歯槽骨を溶かしてしまうためですが、
若い人は代謝が活発なことからそこまで歯周病が進行することはまずありません。
実際、歯肉炎と診断される子供はいても、歯槽膿漏と診断される子供はまずいないでしょうからね。
とは言え、歯周病を無視してはならず、歯を失うことはなくても他の症状が起こります。
歯周病になれば歯周病菌の繁殖で口臭がするようになりますし、虫歯にもなりやすいでしょう。
また、子供が歯周病で歯を失う可能性も完全にゼロではなく、
若年性歯周病によって突然永久歯が抜け落ちる事例はわずかながら報告されています。
このため、歯周病は年齢関係なく予防しなければなりません。
歯周病で歯を失わないためにするべきこと
歯周病で歯を失わないためにするべきことは、まず歯周病を予防することです。
そしてもう1つは歯周病になった時に早く治すこと…つまり早期発見と早期治療です。
ここで難しいのは後者であり、一旦歯周病になると進行させてしまう人が多くいます。
これは歯周病に目立った自覚症状がないためで、例えば虫歯は歯の痛みによって虫歯を自覚しますが、
歯周病にはそのような痛みがないため、発症しても自分が歯周病になったことに気づきません。
つまり、自分が歯周病だと自覚できないため治療を受けようとも思わず、歯周病を進行させてしまいます。
では、目立った自覚症状のない歯周病をどう発見すれば良いのか?…それは定期的に検診を受けることです。
定期検診では歯のクリーニングなどの予防治療を受けられますが、歯の健康状態も診てもらえます。
このため、歯周病になっていた場合はそれをいち早く発見して治療できるのです。
歯周病を予防するには
歯周病予防の基本は毎日の歯磨きで、これは虫歯予防と全く同じです。
と言うのも、歯周病菌は虫歯の原因菌同様にプラークの中に含まれていますから、
歯磨きでそれを効率良く除去することが予防の基本になります。
それには歯磨きの精度を高める必要がありますから、
ブラッシングだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシを使った歯磨きをすべきでしょう。
また、歯周病菌への感染のリスクを減らすため、生活習慣を改善して身体の免疫力を高めてください。
例えば、疲労やストレスの蓄積は身体の免疫力低下を招くため、充分な睡眠などによる解消が必要です。
定期検診を受診すれば生活習慣改善の具体的なアドバイスを貰えますし、
ブラッシング指導などによる予防効果の向上、そして歯周病の早期発見と早期治療が可能になります。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯周病は年配や高齢の人だけの病気なのかについてまとめます。
1. 歯肉炎と歯周炎と歯槽膿漏 :歯肉炎は初期の歯周病、歯周炎は中期の歯周病、歯槽膿漏は重度の歯周病
2. 若い人が歯周病で歯を失う可能性 :完全にゼロではなく、若年性歯周病で永久歯が抜けることもある
3. 歯周病で歯を失わないためにすべきこと :予防と早期治療。早期治療のためには定期検診を受診すべき
4. 歯周病を予防するには :精度の高い歯磨き、生活習慣を改善する、定期検診を受診する
これら4つのことから、歯周病は年配や高齢の人だけの病気なのかについて分かります。
歯周病について誤解している人が多いですが、歯周病は若い人でも発症する病気ですし、
痛みを感じないことはむしろ発症を自覚できない怖い部分でもあります。
実際に歯周病の低年齢化が問題になっており、国民的病気とまで言われているのです。