テレビでも話題の「見えないマウスピース矯正」にデメリットはないのか?

歯並びの意味を考えると、見た目の点しか思い浮かばない人が多いかもしれませんが、
虫歯と歯周病にも大きく関係しています。
何しろ歯並び悪ければ歯磨きしにくく、プラークが溜まりやすくなります。

プラークが溜まりやすくなればそれだけ口の中で細菌が増殖してしまうため、
虫歯や歯周病になりやすいというわけです。ちなみに虫歯と歯周病は歯を失う二大要因であるため、
歯並びをよくすることは歯を守ることに繋がると言えます。

しかし、矯正治療を行うとなるとワイヤーによる見た目の悪さや痛さがネックになり、
治療に抵抗があるという人も多いでしょう。
そんな中、テレビなどで最新歯科矯正として取り上げられて話題になったのが「インビザライン」です。

1.インビザラインの目立つメリット

どんな矯正方法にもメリットがありますが、
テレビで話題になっただけあってインビザラインのメリットは際立って目立ちます。
「透明だから装着していることが他の人に分からない」、「抜歯が必要ないし痛くない」、
「2週間ごとにマウスピースを付け替えるだけでいいから手軽」…具体的にはこうしたメリットがあります。

確かにこれらのメリットは事実ですし、どれもワイヤーの矯正にはない魅力的なメリットばかりです。
インビザラインはこうしたメリットだけが注目されていますが、逆にデメリットはないのでしょうか。
高額な治療を払ってまでインビザラインで矯正する価値は果たしてあるのでしょうか。
そこで、ここでは敢えて注目されることの少ないインビザラインのデメリットを考えていきます。

2.インビザラインのデメリット

メリットだらけに思われがちなインビザラインですが、
インターネットで検索すると意外にもデメリットでいくつか挙がっています。
そこで、実際に見られたデメリットとなる意見を挙げて解説していきます。

装着時間の長さと付け替えの手間について

デメリットの声として多いのが、「計画通りに歯が動かないせいで治療計画が長引いた」というものです。
これについてですが、インビザラインはマウスピースを装着してこそ効果があり、
それも1日20時間以上装着しなければなりません。さらに2週間ごとにマウスピースの付け替えが必要です。
計画通りに歯が動かないという人は、そもそもこれらのことを守っていない可能性があるのです。

最も、治療期間に関してはマウスピースだろうとワイヤーだろうと、
当初の計画通りにいかないケースが確かにあります。
ちなみに、マウスピースの場合は当初の計画通りに歯が動いたかを確認できますし、
経過次第では再度設計図を作ることもできるため、予想外の事態にも対応しやすいのです。

さて、このようにインビザラインの場合は長い装着時間を守ることが必要とされますし、
自身での付け替えも必要なため、手間や管理が必要な点がデメリットのように思えます。
しかし、そうすることで毎月の受診が必要なくなってむしろ楽だという意見もあるため、
この点に関しては一概にデメリットと言い切れない部分があります。

費用について

オーソドックスなワイヤー矯正と比較すると、確かにマウスピース矯正の方が高い歯科医院もあります。
しかし、裏側矯正に比べるとむしろマウスピース矯正の方が安い歯科医院が多いのです。
そもそも矯正治療の100万円という治療費は、費用だけみれば高いのは間違いありません。

しかし、それで歯を失うリスクを避けられて歯磨きもしやすくなると考えれば、
矯正治療には一生の価値があります。では、仮に20歳で矯正したとして80歳まで生きたとしましょう。
1年が365日なので60年で21900日、さらに1日3回食事するとします。

すると、20歳から80歳までのトータル食事回数は21900×3で、実に65700回にもなります。
とすれば、1回の食事あたりおよそ15円(100万/65700)で矯正できることになり、
こう考えるとおいしいものを食べる投資としては、決して高くない金額ではないでしょうか。

痛みについて

「ワイヤー矯正の方が歯を移動する矯正力が弱くて痛くない」という解説を目にしますが、それは間違いです。
ワイヤー矯正は1ヶ月ごとに一気に縮めるため、瞬間的な矯正力はむしろワイヤー矯正の方が上なのです。
当然その際には痛みがありますし、ワイヤーを縮めたことによる傷や口内炎でも痛みます。

一方マウスピース矯正の場合も付け替えの際に痛みはありますが、
ワイヤー矯正に比べればその痛みは小さく、痛みというよりは違和感と表現した方が正確なくらいです。
つまり、マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも痛みが小さいのです。

そもそもマウスピース矯正はコンピューターによってゴールまでの歯並びをシミュレーションし、
それによってマウスピースの型を作るため効果も確かです。最も、新しい治療方法ではあるため、
確かな効果を得るには正しい知識と技術を持った歯科医の元で治療を受けることが必須です。

コンピューターの信頼性について

インビザラインのマウスピースはコンピューターが作るイメージがありますが、実はそれも間違いです。
正確にいえば、設計図を描くのはコンピューターで行いますが、設計そのものをしているのは歯科医なのです。
そもそもインビザラインの場合、マウスピースの作成は全世界共通のシステムで行われます。

全ての歯型と写真はアメリカで集約され、コンピューターグラフィックスを作成した後、
それを元に歯科医がコンピューターを使って設計図を作成する、これが基本的な流れです。
その意味では、患者さんの要望をしっかりと聞き、可能な限りそれを再現することだってできるのです。

このシステムにおけるデメリットを敢えて挙げるとすれば、
アメリカに資料を提出することが必要になるため、その影響で矯正のスタートまで6週間ほど掛かることです。
ワイヤー矯正にはこうした機関は不要なため、スタートが遅いというのがこの場合のデメリットになります。

マウスピース矯正できる人が限られることについて

インターネットを見てみると、「虫歯が理由でマウスピース矯正を断られた」という意見もよくあります。
そのせいか、マウスピース矯正は症状次第では受けられないというイメージが根付いているようです。
確かに、重度の歯周病や虫歯を持つ人は矯正治療できないケースもあります。

しかし、それはマウスピース矯正に限ったことではなく、ワイヤー矯正においても全く同じことが言えます。
例えば顎関節症で考えてみると、多くの場合はこの治療にマウスピースを使用します。
そう考えると、マウスピース使用が顎関節症を助長するケースは極めて少ないと考えられます。

このように、マウスピース矯正だからといって治療できる人が限られるということはないですし、
前述した顎関節症を例にすれば、むしろマウスピース矯正の方が間口が広い部分もあるのです。

虫歯になるリスクについて

マウスピース矯正に虫歯のリスクがあるのかと問われれば、リスクがあるのは事実です。
マウスピースは歯と接着していないため、
マウスピースと歯の隙間に糖類などが停滞することで虫歯になりやすくなるのです。

ただし、これはしっかりと歯磨きすることで充分に予防可能です。
何しろマウスピース矯正はワイヤーと違って取り外し可能ですから、
ワイヤー矯正と違って従来どおり歯の隅々まで磨けますし、デンタルフロスも使用可能です。

歯を削ることについて

既存の矯正方法では抜歯して歯の移動スペースを作るのに対し、
マウスピース矯正では抜歯ではなく歯を削って隙間を作って移動させるケースが多く見られます。
そして、この歯を削るという点がデメリットになるという意見もあります。

しかし、これはむしろメリットと言えるのではないでしょうか。
削る範囲は歯と歯の隙間ですし、それも最大で約0.5ミリです。
アメリカの論文に注目しても、歯を削ったことで虫歯になりやすくなったなどという報告はありません。

削ることを心配する声がありますが、むしろ健康な歯を抜かなくていい分、
この点に関してはデメリットではなくメリットに該当します。

まとめ

全くデメリットがないわけではないものの、
世間で言われるインビザラインのデメリットは実はデメリットではないことが今回の説明で分かります。
敢えて言うなら装着時間の長さと手間がネックですが、
本文で解説したようにその分毎月の受診は必要ないので、そう考えればこれもメリットと考えられるでしょう。

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