歯並びの悪さによって起こる問題は、見栄えの悪さ以外にも何かありますか?

矯正、インビザラインを行っている南浦和の歯医者さん、くろさき歯科です。今回は、歯並びの悪さによって起こる問題は、見栄えの悪さ以外に何かあるのか、について解説いたします。

歯並びは、見た目だけの問題ではありません。歯並びは、お口の健康はもちろん、身体にも様々な悪影響を与えます。見栄えの問題だけでなく、身体全体の健康のためにも、歯並びを整える治療をする事は重要です。今回は、悪い歯並びが、お口や身体に与える影響について詳しく解説していきたいと思います。

1. 歯並びの悪さによって起こる問題とは

(1) 見た目への影響
歯並びの悪さによって起こる影響で、まず1に考えられるのは見栄えの悪さではないでしょうか。お口は、顔の中心に位置しており、お顔全体の印象にもつながります。口を開けた時や笑った時に見える歯が、ガタガタの歯並びの場合や、口がきちんと閉まらない程歯が出ている場合は、印象を悪くしてしまいがちです。
見た目への影響は、口元だけではありません。歯並びが悪いと、顎や口の周りの筋肉のバランスが悪くなり、お顔自体が歪んでしまう事があります。

(2) 虫歯のリスクが増加
歯並びが悪いと、お口の中に歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。歯並びが悪く、凸凹とした所は、汚れが溜まりやすくなります。歯磨きもしづらいため、磨き残してしまう事が多く、虫歯になりやすくなります。
また通常、周囲の筋肉による動きや唾液によって、お口の中をきれいにしようとする自浄作用(じじょうさよう)が働きます。しかし、歯並びが悪いと、噛み合わせが悪くなるため、自浄作用が働きにくくなり、汚れが溜まりがちになるという点も、虫歯のリスクが増加する要因です。

(3) 歯周病のリスクが増加
虫歯のリスクが増加するのと同様の理由で、お口の中に汚れが溜まりやすくなると歯周病のリスクも増加します。歯周病は、特に歯の根元部分に付着する歯垢が原因で進行していきます。歯並びが悪く、凸凹としている場合は、歯と歯の間部分に汚れが溜まりやすくなるので注意が必要です。

(4) 発音への影響
歯並びが悪く、上下の歯が噛み合ない場合や、受け口などの場合、舌の動きが制限され、発音がしづらくなります。例えば、「サ行」「タ行」の発音がしづらくなります。

(5) 顎関節への影響
歯並びが悪いと、噛み合わせが狂い、顎にかかる力が不均等になります。顎関節や周囲の筋肉へ負荷がかかり、顎関節症が引き起こされる事があります。顎関節症は、「口をスムーズに開ける事ができない」「口を開けた時に、顎関節で音がする」「口を大きく開ける事ができない」といった症状がみられます。

(6) 咀嚼への影響
歯並びが悪いと、食べ物を噛む事、「咀嚼(そしゃく)」がしづらくなります。咀嚼がきちんとできていないと、食べ物が細かくなる前に飲み込んでしまい、胃腸に負担がかかるようになります。また、消化吸収を助ける「唾液」の分泌が低下し、消化不良をおこしやすくなります。
咀嚼は、脳への刺激にもなっています。咀嚼ができていないと、満腹中枢に刺激が伝わりづらくなり、肥満の原因にもなります。

(7) 全身への影響
歯並びが悪いと、噛み合わせが悪くなります。噛み合わせが悪いと、重心をずらして身体のバランスをとるようになり、首や肩、腰など歪ませてしまいます。その結果、肩こりや頭痛、腰痛などの全身に症状が出る事があります。耳鳴り、目眩、目のかすみなど、一見噛み合わせと関係の無いような症状も、噛み合わせが原因になっている事もあります。

2. 悪い歯並びとは

では、悪い歯並びとは、どのような歯並びの事を指すのでしょうか。見た目が明らかに凸凹とした歯並びや、出っ張っている歯でなければ、気がつかない事もあります。見栄えはあまり悪くないように感じている歯並びも、問題がある場合があります。代表的なものを紹介したいと思います。

(1) 叢生(そうせい)
歯並びが凸凹とした状態で「乱杭歯(らんぐいば)」とも言われます。顎の大きさに比べて、歯の大きさが大きく、歯が並びきらない事が主な原因となります。汚れが溜まりやすく、歯磨きがしづらいので、歯周病や虫歯のリスクが高くなります。

(2) 上顎前突(じょうがくぜんとつ)
「出っ歯」と言われる状態です。上の前歯が強く傾斜している場合、また上顎の歯全体が前に出ている場合があります。指しゃぶりなどの癖が原因になっている場合もあります。

(3) 下顎前突(かがくぜんとつ)
「受け口」と言われる状態です。下の歯が上の歯よりも前に出ている状態です。

(4) 開咬(かいこう)
上の歯と下の歯を合わせようとした時に、奥歯では噛み合っていても、前歯が噛み合っていない状態です。前歯で物を噛み切る事が難しく、食事に支障があります。

(5) 過蓋咬合(かがいこうごう)
噛み合わせが深く、上の歯が下の歯を根元まで覆ってしまうような状態です。噛んだ時に、歯が接触している部分に、強い力がかかりやすく、歯が擦り減りやすくなります。

3. まとめ

いかがでしたでしょうか。歯並びの悪さは、見栄えだけでなく、歯や口の健康、全身の健康に影響を及ぼします。歯並びの悪さによって起こる問題をまとめたいと思います。

  1. 見た目への影響:口元だけでなく顔全体が歪む事がある
  2. 虫歯のリスクが増加:汚れ(虫歯菌)が溜まりやすく、虫歯になりやすい
  3. 歯周病のリスクが増加:汚れ(歯周病菌)が溜まりやすく、歯周病になりやすい
  4. 発音への影響:「サ行」「タ行」などの発音が不明瞭になる
  5. 顎関節への影響:顎関節症になりやすくなる
  6. 咀嚼への影響:咀嚼力が低下し、胃腸に負担がかかる
  7. 全身への影響:頭痛や肩こり、腰痛、目眩など、全身に症状が出る事がある

歯並びは、全身に様々な影響があります。歯並びは、一見すると見栄えが良いものでも、噛み合わせに問題があるケースなどもあります。気になる場合には、定期検診と合わせて、歯並び・噛み合わせもチェックしてもらうと良いでしょう。